ちょっと、不適切な問題があったとネットで話題です
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ギ酸は、銀鏡反応は示すが、フェーリング反応は示さない
と記述された参考書があります。この著者は実際に実験をして確認しています。

渡辺格監修、卜部吉庸著、“「化学」IB・IIの新研究”、三省堂(1996)p473

 実験は、「(通常の)フェーリング液2mLにギ酸0.1mL加えたものを、バーナーで数分間加熱を続けたが、Cu2Oの赤色沈殿は生成しなかった。」
とあり、その解釈として、「これは、塩基性溶液中ではギ酸はギ酸イオンとして存在するが、いままで酒石酸イオンとのキレート錯体を形成していたCu2+が、
今度はギ酸イオンとより安定なキレート錯体を形成したことにより、反応がおこりにくくなったことが主な原因と考えられる。」
としています。

>(6)蟻酸に関する銀鏡反応とフェーリング反応,(村上正和と共著)
>   化学と教育(日本化学会),43(11),718(1995)

を参照しました。井野口弘・村上正和両氏の上記論文では

 フェーリング反応については、NaOH濃度を極端に上げ煮沸を続けると赤色沈殿が生じるが、ブランクテストでも同じ結果がでるので、
強アルカリ性にするとロッシェル塩が分解され、その生成物が作用すると判断したとあります。考察として
 フェーリング反応の場合、塩基性のため蟻酸は電離し、生じた蟻酸イオンと銅(II)イオンがキレート錯体を形成し、
また、この錯体は高温でも安定に存在するため、高温でも自由な蟻酸イオンが存在しないこと、銅(II)イオンが銀イオンよりも還元されにくいため酸化還元反応は起こらないと考えられる。
と結論しています。

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